写真:梨さとう園さん(東京都国立市)にて。2020年6月撮影。
弊社が運営するagri.TOKYO(アグリドットトーキョー)では、
東京の都市農業の現場を徹底的に取材。その奥深い魅力に迫ります!
「令和」という新しい年代を迎えて、いま日本社会は大きな岐路に立たされている。高齢化と人口減少は当然の前提となり、右肩上がりの経済成長はもはや期待できない。将来の安定性が失われ、個人にとっての確実な人生のストーリーはどこにも存在しない。何が正しく何が間違っているかは曖昧になり、これまで社会で当然視されてきた価値観は脆くも崩れ去る。私たちは、このような不確実で先の見えない時代を生きている。抗おうにも、社会が変わるのなら順応していかなければ生きてゆけない。
でも、もしかするとこの新しい時代は、そんなに悪くはないのかもしれない。社会の発展のため、決まりきったストーリーのためではなく、私たち自身のために生きていく。捉え方によっては、そんな未来にも思える。
東京には未だ5,000軒を超える農家があり、商業生産や直売、農体験など多様な事業を行っている。都市化の波に逆らってそれでも農業を続けるために、独特の哲学を持った農家が多いことも特徴的である。
しかし、その知名度は未だ低いままであり、背後にあるストーリーも埋もれてしまっている。東京の農業には、未利用・未開拓の価値が山ほどある。これらを丁寧に紐解いていくことが欠かせない。
300年前、江戸の町と武蔵野台地の農村との間には、食料・植木の生産と排泄物の再利用という一つの資源のサイクルがあった。それは江戸の賑わいを支えるとともに、この地の農業の発展をもたらした。
ぽてともっとが創っていくのは、都市と農業との間の新たなサイクルである。新しい時代を生きるために、私たちは自分らしさと覚悟を追い求めるようになる。東京の農業の知られざる力によって、そんな私たちの心にもう一度火を灯したい。日常生活のなかに、ほんの僅かなリチャージの時間を挟みたい。
東京の農業の力を、新時代を生きる原動力に。そのための「空間」づくりが、いま、はじまります。